何度も否決したのですが頑なに受け取ってくださらず

もう一度十年代ほど昔の話です。当時間食で働いていたぼくは、常連のA氏にお酒を注ぎながら話をしていました。
「あした会社で花見をするんだ」
「へぇ~いいですね」
「良かったら現れる?」
まさかショップのカテゴリーにお邪魔するわけにはいかないし、昼間は寝てるからなぁと思いながらも、「しばらく行ってないから行きたいですね~」って相槌を打つぼく。そうなるとA氏は喜んで「ぜひおいで」と言ってくださいました。ですが、やはり憚られて、「行けたら行きますね~」といったサウンドを濁そうとしたタイミング、びっしり秘訣にはじめ万円付票を握らされました。
「とすればこちら車代ね」
そういった心づもりはなく、何度も否決したのですが頑なに受け取ってくださらず、翌日お邪魔する運びとなりました。
ストレスしながら向かったのですが、ショップのカテゴリーも頻繁にお店によっていただいてたので、いよいよ顔を出してみると見知ったお客様ばっかり。皆様歓迎してくださって、ビールといったおつまみを取りながら川辺で悠然と桜を売りました。
数日のち、またA氏がご来店されて、「この間は有難う。お嬢さんを呼んだって己の株も上がったよ~」って嬉しそうに語るので、「こいつこそ楽しかっただ。車代まで受けありがとう」といったふたたび謝辞を語り掛けるって、「ありゃ???」と疑念そうなご状態。そう、誠にA氏、酔っ払ってあのお日様の土産をお持ちじゃなかったのです!!確かに日頃から酔っても顔つきには出ないお客様でしたが……。
お花見のおみやげはほんのり遠ざかるかもしれませんが、桜を見るたび思い起こします。その後しばらくして亡くなられたA氏といった眺めた桜。とことん晴れたお日様で、空の青という川の青という薄ロゼがいとも秀麗でした。

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